2015年度授業がはじまりました!来週からは公開講座です!

4月14日(火)から今年度のふくしま未来食・農教育プログラムの大学院授業が始まりました。

 

今年度の最初の授業は地域産業復興論でした。

地域産業復興論は、毎回異なる先生に来ていただいて、幅広い分野について学ぶオムニバス形式の授業になっています。

なお、この地域産業復興論は次回(4/21)からは公開講座となり、福島大学にお越しいただければどなたでも聴くことが出来ます。詳しいスケジュールは下記をご覧下さい。

 

さて、初回は、授業全体のガイダンスも兼ねて「福島の食と農の再生に向けて 5年目の取り組み」と題して小山先生が講義を担当しました。

震災から5年目となった今、福島県内も含めた全国の消費者が、福島や福島県の食品に対してどう思っているのか、また県内から発信された情報がどう受け止められているのかといったことについてアンケート結果を用いて解説しました。

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日付 講師   (所属)     タイトル

4/21 小松知未 (福島大学)    避難・作付制限・風評の先に描く将来像

5/12 濱田武士 (東京海洋大学) 海洋汚染からの漁業の復興

5/19 小山良太 (福島大学)   5年目における食と農の再生

5/26 早尻正弘 (山形大学)   森林汚染からの林業復興

6/2  冬木勝仁 (東北大学)   米をめぐる情勢と農業・農村の復興

6/9  吉川夏樹 (新潟大学)  農業用水由来のCSとイネへの影響

6/16 野中昌法 (新潟大学)  農業の本質と放射能からの農業復興―土壌化学の観点から―

6/23 関谷直也 (東京大学)   風評被害の構造と5年目の対策

6/30 小田切徳美(東京大学)  農山村再生の課題

7/7  東山寛  (北海道大学)  TPPと農政改革

7/14 守友裕一 (福島大学)   地域づくりと内発的発展の道

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FURE風評問題シンポジウム@郡山市役所を開催

3月14日、FURE(福島大学うつくしまふくしま未来支援センター)主催で風評問題のシンポジウムが郡山市役所にて開催されました。

テーマは「原発事故5年目における風評被害の構造と食と農の再生」。
そこでは、「風評被害問題」の解決に向けて、「生産・流通」「検査・費用負担」「消費者知覚・情報発信」などに関する実践的な調査分析を行っている研究者による報告をもとに、いま取組むべき課題と今後のあり方を見出すことを目的に開催されました。

私たち食農教育プログラムからは、小山良太教授とわたし則藤の2名が登壇。
130名を超える市民の方にお越しいただき、風評問題の現状と今後の対策について議論を行いました。

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座長解題:福島大学 小山良太教授

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第1報告:東京大学 関谷直也特任准教授 「風評被害の構造と5年目の対策」

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第2報告:福島大学 則藤孝志特任准教授 「原子力災害後の農産物地場流通の実態と地産池消の回復に向けた課題」

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第3報告:福島大学 中村陽人 「消費者は今、どう考えているのか―消費者調査による購買行動と態度の分析」

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報告4報告:福井県立大学 岡敏弘教授 「放射能汚染食品のリスク評価と規制・対策の費用便益分析」

4名からの報告の後、フロアを交えての総合討論が行われ、食品の安全性を示す科学的なデータを発信し続ける重要性、地域ぐるみのコミュニケーションの場の企画など、これからとるべき対策について議論が深められました。

則藤孝志

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郡山市×食農公開講座最終回を開催

2月10日、郡山市役所にて、郡山市×福島大学による「ふくしま未来食・農教育プログラム公開講座」を開催しました。

本年度はこれまで5回にわたって公開講座をひらいてきました。
今年は、「将来に向けたこれからの食と農の地域づくりを考えていこう」をメインテーマに掲げて、そこでは、農業生産におけるセシウム対策や風評被害などこれまでの放射能汚染問題に加えて、内発的な地域づくり、食品産業との連携、それから病害虫防除の最新技術など、「これから」を意識したテーマを積極的に取り上げてきました。

そして、今回が今年度最後の公開講座。東京大学から根本圭介先生にお越しいただきました。
根本先生には昨年の公開講座にもお越しいただき、水田生態系における放射性セシウムの動き、セシウムの稲への移行メカニズムについて最新の研究結果を交えてお話をいただきました。

一方、今年のテーマは、「世界の食糧増産のゆくえ―作物栽培技術の現在・過去・未来―」。
作物学の第一線の研究者である先生から、大きな時空間スケールからみた食と農の問題についてお話いただきました。DSCF4914 P1000412
~講義ダイジェスト~
お話は大きく2つの柱で構成されていました。

ひとつ目は、「20世紀型増産技術」の功罪です。
化学肥料と除草剤(農薬)、そして多収量品種の開発・普及からなる近代農業技術は、20世紀に激増した世界人口の食糧を支えてきました。
一方で、負の側面として、農業用水の枯渇や塩害、表土流亡などの農業の持続性を脅かす問題が世界各地で発生しています。
さらに、巨大化する多国籍アグリビジネスへの依存による農業者の主権、食の主権の喪失や地域共同体の機能弱体など、社会的な問題も指摘されています。
これらの点に加え、根本先生は、ご自身が行った、DNAマーカー技術による陸稲の分析から、干ばつなどへの環境耐性と生産性(収量)の向上はトレード・オフの関係にあることが多いことを明らかにし、すなわち、これまでの増産技術には限界が見えていることを指摘しました。

それでは、21世紀の農業技術はどのような方向性を見出せばよいのでしょうか?
これが柱のふたつ目。「食料増産へのもうひとつの道」と題してお話されました。

先生が注目したのが、ヨーロッパの農業革命をもたらした輪作式農法です。
すなわち耕地の生態的機能を最大限に活用した地力の保全と増強を通して生産性を向上させる方法をいま一度見直そうということです。
アフリカのマラウィでは、化学肥料と多収量改良品種による単作型の農法よりも、トウモロコシとマメ科植物との輪作のほうが高い生産性と持続性を発揮したことが、国際研究チームによる大規模な試験で明らかになりました。
「生物多様性はアフリカの緑の革命を支える」。これはその試験研究の成果をまとめた論文のタイトルです。

またSRI農法(System of Rice Intensification)と呼ばれる、深耕、有機物施用、疎植、稚苗、間断潅漑を組み合わせた、新しい集約的イネ栽培法がいまアフリカやアジアで草の根的に広まりつつあるそうです。
このような輪作や混作などの集約的な栽培管理を持続させるには、村落ぐるみの共同管理が不可欠です。
この共同体の活性化こそ、発展途上国のこれからの持続的な農業発展には不可欠であると、先生は強調されていました。

アジアの食糧増産に大きな役割を果たした「緑の革命」。化学肥料と多収量改良品種を組み合わせた、まさに近代農業技術の努力の結晶です。
一方、これからは耕地の生態系機能と生物多様性を生かした「虹色の革命」が求められているのです。

~コーディネータの感想:来年に向けて~
今回は、作物栽培技術の現在・過去・未来という世界的な視点から、私たちの農業について考えてきました。
日本農業の基礎にある稲作は、米という食料をもたらしてくれるだけでなく、地域の共同体を維持する仕組みであるということに、アフリカやアジアで広まるSRIのチャレンジを通して、改めて気づかされました。また、生物多様性はアフリカの緑の革命を支えるという、虹色の革命の話がありましたが、この農業・文化の多様性を重視した地域づくりが日本にも求められているのだと感じました。皆さんは今日のご講演を聞いて、何を学び、何を感じたでしょうか。

これまで私たちはひたすら福島の復旧・復興を考え、福島の現場から議論してきました。大切ですし、これからも続けます。
一方で、私たちの農業・農村、あるいは地域経済の抱える問題は、福島県だけが抱える問題ではなく、日本全国に共通する問題でもあります。
また私たちの食生活を考えてみると、福島県、そして日本の農業によって支えられているだけでなく、世界の農業にも多くを依存している事実があります。
そしてそこには、世界の食糧問題、貧困問題、環境問題が存在するわけです。

つまり、私たちの食生活、郡山市・福島県の農業、そして世界の食料、これらは皆、実はそれぞれ密接につながっているのだ。
今日の根本先生のお話から、そのことを改めて確認し、大きな視点から、これからの郡山市・福島県の食と農の姿を展望するいい機会になりました。
来年度も公開講座を開催します。
将来に向けたこれからの農業と地域づくりを考えていくために引き続き皆さんと一緒に学び、議論していきます。
来年度もぜひ郡山市食農公開講座を楽しみにしておいてくださいませ。

則藤孝志

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